博士の愛した数式

監督 小泉堯史
出演 寺尾聰 , 深津絵里 , 齋藤隆成 , 吉岡秀隆
脚本 小泉堯史
原作 小川洋子
音楽 加古隆
収録時間 117分

映画観ました。小説が大変面白かったので、どうしても比べてしまいますが…。

やっぱり小説の方がよかったです。映画として悪くは無かったんですけど。小説に出てくるエピソードをうまい事まとめてあって、省略されたり組み合わされたり。ルートが教壇に立って話を進めていくスタイルも悪くないなぁと思いました。全体的に良くできてるなーと思いました。うまく小説を映画の土台に移せてた。のどかな風景、美しい桜、画的にとっても綺麗でした。見せ方やニュアンスが違うのは、それらが「違う作品」なんだから、それはいいんです。ただ、原作にあった要素で省略しちゃって残念だった点がいくつかありました。そこは映画にうまくもってこられたらもっと素晴らしいのになと。以下ネタバレ含みます。

小説では80分という時間がとても強調されていました。その分終盤、「きっかり80分」が崩れた時の読み手の衝撃というのはとても大きかったと思う。博士の記憶が80分しか持たなくても彼らは友達になり彼らナリに親交を深めました。忘れられたとしても「今」が大事なんだ、と。けれど、直線のようにはいつまでも続かないその状況。80分の記憶も持つ事ができなくなっていき、施設に入る。そう、直線のようにいつまでも続くわけではないからこそ、大事にしなければいけない「今」。話の終末にはそんな事を感じました。映画では、80分の強調とその崩壊は描かれていませんでした。最後浜辺で博士とルートがキャッチボールをする様子を「n」と母が眺めているという美しい描写がありましたが。

あと、小説にあった好きなシーンのひとつに、母と博士がベンチに座って足元に数式を書き広げていくシーンがあります。地面に数式で紡がれたレースは宇宙の広がりを感じさせる美しさがありました。母が数学の世界の魅力にぐんぐん吸い込まれていくそここの描写は本当に美しかったです。文字だからこそ表現できる美しさでしょう。これを映像にしたらどうなるんだろう。やっぱ無理なのかな。

さて、加古隆の音楽、これしょっぱなから違和感がビリビリでした。この人の音楽嫌いじゃないです。ただ、この映画にあの音楽は僕ならつけない。って凄く偉そうですけど、何か違いました。全部が全部ってわけじゃないんですがあのテーマは、数学の神秘的で美しい、崇高なイメージなんでしょうか。けれど、あの映画のテーマは別に数学のソレではないはずです。何だか湿っぽくて暗い影になっていた気がします。nと博士の過去にもっとフォーカスしているならああいう音楽になったかもしれませんが。

と、気になったことばかり書きましたが、悪い映画ではないです。小説読んでなくって何かいい映画探しているならおススメの映画です。小説読んだ人にはイマイチかもしれません。比べてしまいますからね。


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