地下鉄(メトロ)に乗って

現在映画が上映中ですね。浅田次郎「地下鉄に乗って」を読みました。別に映画でやってるから読んだわけではございませんで。カナリ前から本だけ持ってて読んでなかった。学生んときに仕事させてもらってた取引先の方が浅田次郎ファンで、東京に打ち合わせで来た時に、帰りの新幹線で読んだら?と、文庫本くださったんですよね。何年もの歳月を経て読みました。

凄くイイ。面白かった。タイムスリップ系のSFファンタジーだけど、とても現実感が豊かで引き込まれました。凄く暖かくてセツナイ。ちょっとだけBigFishと似た感覚がありました。若い頃の父を追うっていう所が一緒ですね。こちらは映画で観たんですけど、そっちもヨカッタ。バタフライ・エフェクトでもこの小説のと同じエッセンスを少し感じられるかもしれない。この映画2本は全然似てない映画なんですけどね。BigFishほどメルヘンではなく、もっと哀愁漂う感じ。バタフライエフェクトみたいにアングラ感はない。

主人公真次は自分の意思とは別に、現代と父が生き抜いた時代を行き来する。何かの意思が働いているかのように。物語は読み手に少しは予想を持たせるが、全てを把握させる事なく最後には思いがけない結末を迎える。そのバランスがとてもいい。冒頭から、憎らしくトテツモナク冷徹な人間として描かれる父親像を徐々に解きほぐしながらも、逆に真次はその憎らしい父親似ている事に気づいていく描写など、とても素敵。
「親っていうのは、自分の幸せを子供に望んだりはしないものよ。そんなこと決まってるさ。好きな人を幸せにしてやりな」と若き母に言われたみち子が「ありがとう、おかあさん。ごめんね」といって取った行動を想うと、胸が苦しくなる。切なすぎる・・・。最後に突きつけられる2つの事実はセンセーショナルだけれど、更にその後の結末は本当にセツナイ。

真次は最後まで父とは会わなかったのだろうか、そんなことを考えながら読み終えた余韻がずっとずっと響いている。堤真一好きやし、映画も観たくなった。時代時代の風景を観たい。


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